2025年11月7日金曜日

11.3国会正門前 高市政権、退陣!憲法公布79年国会正門前集会

高市政権、今すぐ退陣! 憲法公布79年

11・3国会正門前集会に2300人    (2025年11月3日)

 11/3の「憲法集会」の様子を、調布の大本久美さんによる写真と、石川康子さんによる記録メモでお伝えします。 (戦争はいやだ調布市民の会「伝言板」編集部)

木枯らし一番と右翼の執拗な妨害の中、日本国憲法公布79年記念集会が2300人の参加で開かれました。調布からは23人が参加しました。

◆司会:菱山南帆子さん(憲法9条壊すな!実行委員会) シュプレヒコールからいきます。「高市政権今すぐ退!」「裏金議員は今すぐ辞職!」「改憲反対!」「戦争反対!」・・・

◆主催者挨拶:染裕之さん(戦争させない千人委員会) 参院選後3か月の政治空白の後、公明党の連立離脱、自民と維新の連立による高市内閣が成立。この危険な政権と私たちは正面から対峙していかなければならない。高市首相は所信演説で軍事費のGDP2%までの増額の今年度中の実現を表明、安保三文書の更なる改定を26年度に行うため作業に入っているという。戦後80年、私たちは平和を誓って新憲法と共に歩んできたが、今も世界では戦争による残虐行為が繰り返されている。原点をみつめ戦争のない世界を目指そう。    

<政党から>

ラサール・石井さん(社民・参) 議員になって80日目です。今社民党がご心配をおかけしています。なんとか党勢をつけようと福島みずほさんにもネタを提供していただいて漫談をやっています。社民党は絶滅危惧種であると。参院に2人だけ、衆院に1人いたやんばるくいな(沖縄選出の新垣さん)も飛んでいってしまった。自民党は「解党的出直し」といっていたが、麻生、萩生田など、国民が出て来られないように氷づけにした人たちが復活している。「解党」ではなく「解凍」だったんだ。自民党が強かったのは右から中道的な人まで居たからだが、今は岩盤保守層に従わされている。こうなると高市政権は短命に終わる可能性大だ。いいニュースもあります。一昨日福岡のある小学校で、模擬選挙をしたんです。先生が各党の政策を説明してから選挙をしたら、政権与党に社民党が選ばれた。正論はいつか勝ちます。


◆田村智子さん(共産・衆) 自民・維新の連立合意文書は驚くべき政策のオンパレード。
9条の改正、大軍拡の前倒し、選択的夫婦別姓の拒否、医療費4兆円削減等々。でもこの政権の足元は弱い。衆院選でも参院選でも大敗し、裏金問題への反省もないとして公明党も連立離脱、維新や国民民主を取り込んでも「自民党政治はNO」という国民の要求とは相容れない。熊本市の自衛隊駐屯地のある町へ行ってこのことを痛感した。米軍基地のある岩国市の市長さんとも話した。ちょうど高市さんがトランプ大統領と横須賀に行って、「日米同盟は世界一強い」と言っている日、長射程ミサイルが配備される町のみなさんの不安をいっぱい聴きました。岩国では「タッチアンドゴー」の訓練が約束違反で行われたことへの怒り、また行われるかもしれないという不安が大きい。日本政府はなぜ抗議しないのか。基地との共存を唱える岩国市長が、アメリカにも中国にも言うべきことは言うという日本共産党と共感したくなったと言われました。戦争だけはだめだ、平和で安心して暮らせる町であってほしい、このことを訴えぬいて、この危険な高市政権、短命に終わらせましょう!

◆阿部知子さん(立民・衆) 10年前この場で村山元首相が「集団的自衛権に踏み込むことは憲法の死を意味する」と演説された。でもこの頃枝野さんが「安保法制は合憲」と言い出している。今のところ「集団的自衛権の行使」に関わるような事態がないからというんですが、みなさんの声があってそう簡単にはそんなことはなりません。でも今沖縄では宮古にも石垣にも本島にも自衛隊のミサイル基地があって、それを米軍が使う。私たちはもう巻き込まれているんです。私は今日藤沢から来ました。藤沢には初代社会党政権を担った片山哲さんがいました。平和と民主主義、これが日本の政治の掲げる旗です。今日がまたその新たなスタートとなることをみなさんと共に誓って立憲民主党からのご挨拶とします。

◆プラカードアピール:「ジェンダー平等今すぐ実現」

◆伊波洋一さん(沖風・参・メッセージ) 沖縄の民意は踏みにじられている。南西諸島の軍事要塞化は民意の反対にもかかわらず進められてきた。9月の日米合同演習「レゾリュート・ドラゴン」に続き自衛隊総合訓練が沖縄県内の民間空港や港などを利用して行われた。県民は沖縄が再び戦場になるのではないかという不安を抱いている。戦場になるのは沖縄だけではない。全国300の自衛隊基地で施設の改修が行われている。長射程ミサイルのための弾薬庫の建設も全国で進む。日本は「戦争のできる国」から「戦場を引き受ける国」になろうとしている。自民・維新連立政権は極めて危険。企業団体献金廃止を先送りして議員定数削減を図っている。極めて好戦的右翼的政権を許してはならない。

<メイン スピーチ>


◆伊藤千尋さん(ジャーナリスト) 今朝ほど埼玉の憲法集会で話してきました。そのと
き学校の先生から「生徒から、よその国には軍隊があるのに日本は軍隊がなくても大丈夫かと訊かれたがどう答えればいいか」と質問された。答えは簡単です。クラスに暴れ者がいる時みなさんナイフをもって登校しますか。しないでしょう。みんなでその子を取り囲んで、暴力を振るうな、そういう学校を作っていこうとするでしょう。アメリカの学校では銃の乱射事件がよくあります。その時社会はどう反応したか。民主党は18歳までは銃の所持を禁止すべき、共和党は先生が学校に銃を持って行けばいいと言いました。日本はどうか。銃を持たないから平和なんです。憲法9条が国家として軍隊を持たないとしている。だから80年間戦争をしていないんです。9条を生かしましょう。どうすればいいか。9条を知らない人がいるから知らせよう。そのために「9条の碑」を作る運動が全国的に起きています。最初の碑は1985年那覇市にできた。沖縄が9条から見捨てられていることに抗議して那覇市長が作った。2015年(安保法制ができた年)から増えてきた。去年は15、今年だけで22作られる。その中にはあの歴史ある三井寺が作る碑もあります。全部で70、海外の3つ(カナリア諸島、トルコ、ジンバブエ)を入れると73になります。碑とは過去を刻むものでもありますが、「9条の碑」は未来に向けて、9条を見える形にするものです。世界に9条を広めてきましょう。

◆前田佳子さん(平和を求め軍拡を許さない女たちの会) (予定されていた和田静香さんのスピーチを代読)金曜日に「フェミニストで中高年シングル女性の私が初の女性首相を喜べないわけ」という記事を発表した。私は都内に一人住まいで生活は楽でない。日本の「男性稼ぎ主モデル」では、結婚が女性の唯一のセーフティネットで、単身者は社会保障から脱落してしまう。こういう女性の問題を女性の政治家に解決してもらいたいと思っていたが、連立の政策合意書をみると、労働政策はなく、逆に労働時間規制の緩和など、非正規雇用や格差が大きくなるばかりで、女性の権利は守られないという趣旨だったが、これがSNSで炎上、罵詈雑言が浴びせられた。ほとんど読まなかったが、目についた一つは「成長期にはみんなで助け合っていこうよということになるが、ピークを過ぎれば<弱者は消えろ>となるのがスジ。そのスタンスやめたほうがいいっすよ」というもので、これが今のマインドなんだと思った。苦しいとか助けてとか、言葉にしてはいけない。自己責任なんだから。安倍内閣で生活保護バッシングをしていた高市さんや片山さんのように、強さでおしまくっていく世の中では弱者は消えなければならないのだ。そういうのは「くずフェミ」と呼ばれる。でも憲法には「弱者は消えろ」とは書いていない。私は消えない。自分の尊厳を守りたいと思う。それが他者の尊厳を守ることにつながる。

<リレートーク>

◆古川敦子さん(ピースボート) ピースボートは今年「今こそ平和を!」と銘打って航海をした。日本の被爆者や世界中の戦争被害者が乗船して語り合った。「微力だけど無力ではない」という言葉は被爆体験を語り継いでいるくらもりさんの言葉。被爆者の伊藤さんは核兵器禁止条約が成立したときは涙が出たという。ウクライナからはロシア兵による性暴力被害者の2人の女性が参加。80年前の日本の従軍慰安婦の方と同じく性暴力によっても人間性は奪えないことを示してくれた。ピースボートは長年パレスチナ支援をしてきたが2023年以降は緊急支援として募金によりガザに野菜を届けている。受け取ったある男性は「これは単なる支援物資ではない。希望なんだ」と言っている。

◆平山貴盛さん(ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会) 高市首相はトランプ大統領をノーベル平和賞候補に推薦した。ガザ停戦を実現したからだというが冗談ではない。停戦協定後イスラエルによって少なくとも200人のパレスチナ人が殺されている。そして日本はその虐殺に手を貸している。政府はイスラエルから攻撃用ドローンをはじめ様々な武器を購入しているし、年金などの積み立て金を1兆円以上イスラエルの軍事企業に投資してい。日本国憲法前文には「われらは、平和を維持し、専制と隷属・・・を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」とある。虐殺に加担することが名誉ある地位なのか。パレスチナが自由になるまで誰一人自由ではない。パレスチナが平和になるまでは誰一人平和ではない!


◆大江京子さん(改憲問題対策法律家6団体) 今度の臨時国会「スパイ防止法」の成立
が企てられている。この法案は40年前自民党が出して潰されたものだ。維新、国民民主、参政党と組んで「欧米並み」のものを作ると言う。「秘密保護法」などによってほとんどできているのに、今改めて持ち出してくるのは①外国への通報に極刑を要求②情報を扱う人の調査③市民活動の禁止④日本版CIAの創設のためだ。参政党神谷党首は「極端な思想は排除すべき」と言っている。統一教会も動いている。

<行動提起>

◆石川さん(憲法共同センター) 2300人の参加で大成功。先週高市首相はトランプ大統領と横須賀へ行き原子力空母ジョージワシントンに乗って大はしゃぎ。ジャンプジャンプガッツポーズには見ていて恥ずかしかった。原子力空母の寄港を許しているのは日本だけ。高市政権の危険性を周知させて早く終わらせよう。

11月19日(水) 18:30~ 総がかり行動 衆議院議員会館前

11月20日(木) 18:00~ ウイメンズアクション 有楽町イトシア前

12月19日(金) 18:30~ 総がかり行動 衆議院議員会館前

シュプレヒコールで散会。

防衛大学校卒業生平山さんのスピーチは圧巻でした。


2025年10月19日 国会議員会館前 総がかり行動

 1019総がかり行動 国会議員会館前に700

新たな戦前にするな!大軍拡、スパイ防止法反対!

         1019日の総がかり行動は、国会議員会館前で午後2時開会。ここまで迫ってきた危機!をはねのけようと700人が参加。司会菱山南帆子さん。

◆主催者挨拶:小田川義和さん

危険な情勢、取り組み強めよう!

10年間この行動を続けていることで、国会の右傾化のもとでも明文改憲を防ぎ、戦争体制作りにブレーキをかけてきました。賞味期限切れの自民党に衆参両院で過半数割れの審判が下ったにもかかわらず、自民党の右傾化を後押しする勢力が主張を強め、立憲勢力をも引き込もうとする危険な情勢です。日本維新の会が政権協議に出した12項目は政治反動化の実施リストです。とりわけ臨時国会で議員定数の1割削減を実現することを連立の絶対条件としていることは、民主主義の破壊であり、断じて認めることはできません。緊急の課題に議員定数削減反対を位置付け、取り組みを広げましょう。

<政党かから>

◆吉良よし子さん(共産・参維新の公約、企業団体献金禁止はどこへ

公明党が政権離脱して、自民と維新連立。維新は議員定数の削減を連立の絶対条件。これは民意切り捨てを意味する。大阪では定数削減を強めた結果多くの選挙区が1人区となり、維新独裁に。さらに維新は比例区の削減を求めているが、これはまさにマイノリティの切り捨てだ。維新の公約だった企業団体献金禁止はどこへ。自民党は選挙で禊は済んだとしている。野党は消費税減税で共闘できるはず。医療費4兆円削減などとんでもない。暮らしを守るために大軍拡阻止、デマと差別を許さない。人を傷つける政治を許さない。

◆福島みずほさんメッセージ(社民・参) 反ファッシズム統一戦線をつくろう!

高市政権成立の見通しに怒りでいっぱいです。維新、N党、参政党とも協力して極右政権ができる。反ファシズム統一戦線を作ろう。1995年の村山総理大臣談話では、侵略戦争と植民地支配へのお詫びと平和への決意が述べられていた。村山談話を引き継いでいきましょう。

◆韓国からメッセージ(日韓和解と平和プラットホーム) 希望を失わず前進しよう

新政権誕生から100日余りだが、旧勢力排除は容易ではない。北との対話もうまくいっていない。さらに米韓日による対ロ・朝協調行動が強化され、軍事的緊張が高まっている。世界的にも多くの地域で民主主義が脅かされており、日本でも極右政権の成立が見込まれている。しかし歴史は民衆が

圧政と闘い、正義と平和をかちとってきたことを示している。希望を失わず前進しよう。

<市民から>

◆柚木康子さん(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)

女性差別撤廃条約批准から今日で40年だが、日本の男女の平等は、女性の53%が非正規雇用で賃金は正規雇用でも男性の77%。103万円の壁を178万円に引き上げろというが、178万円でも自立はできない。すべて、企業の裁量とされる。女性総理実現で女性の状況がさらに悪化することを恐れる。

◆京都「祝園(ほうその)弾薬庫反対集会」実行委員長の呉羽真弓共同代表(電話中継)

陸自・祝園(ほうその)分屯地(精華町、京田辺市)に長射程ミサイル保管のための大型弾薬庫14棟の新設が計画され、今月にも造成工事が始まろうとしています。「私たちは二度と戦争をしたくない! 平和でこそ文化は香りたつ!~

平和と文化を創る祝園・全国大集会~」が精華町のけいはんな記念公園で行われ、2700人が参加しています。

◆杉原浩司さん(経済安保法に異議ありキャンペーン)スパイ防止法に反対する者はスパイ

デマと差別と排外主義を煮詰めた戦争準備法であるスパイ防止法を悲願とする統一教会と勝共連合は、私たちに注目している。この法案は19856月国家秘密法案として提出され、審議未了廃案となったが、ゾンビのように復活してきた。すでに統一教会は批判的な弁護士2人をスパイとするチラシ

を発行している。23年にイギリスで成立した国家安全保障法と同じものを作ろうとしているが、これは例えばプーチンが政権に反対する者をスパイとするのと同様な内容で、スパイ防止法に反対する者はスパイだということにもなりかねない。世界のどこの国にもあると彼らは言うが世界になくて日本にあるのが憲法9条だ。10211230~衆議院第一

議員会館第6会議室で院内集会、221200~衆議院第一議員会館で市民と立憲野党の勉強会を行う(ネット中継あり)。11月中旬には鈴木エイトさんを招いて集会も計画している。本気になって取り組まないと危ない。

<行動提起>

◆菱山南帆子さん  私のところへは「菱山南帆子、スパイ防止法が通ったらお前は死刑だ」という脅しが来ている。闘いを広げ絶対に阻止しましょう

参加した大本久美さんによる写真と、石川康子さんによる記録メモでの行動の様子です。(伝言板編集部)戦争はいやだ調布市民の会「伝言板」1012号(20251020日付)から転載

 

2025年5月6日火曜日

2025年5.3 憲法大集会

    憲法大集会に38000人



ノーベル平和賞受賞被団協田中てる巳さん(93才)のスピーチ
             田村智子日本共産党委員長の挨拶
            辻本清美立憲民主党副代表の挨拶          
  

伊波洋一沖縄の風の挨拶
市民連合佐藤学東大名誉教授の挨拶



2024年12月12日木曜日

横田基地はどうなっている?

 横田基地は今どうなっているか    

横田基地の撤去を求める西多摩の会事務局長 寉田一忠

   

はじめに

 非人道的な「2つの戦争」を、一刻でも早く止めさせたいと願う世界の平和を願う世論は、米国のトランプ再登場で、先行きへの不透明感を強め、困難に直面しています。

この戦争の背景には、不安定化する自国の覇権を維持強化したい米国の思惑が強く働いていると言われています。加えて、台湾を巡る米国と中国との緊張関係は、一層の困難を生み出しているかのようです。

こうした時、日本は、全国の自衛隊基地の強靭化を進めるとともに、先の「2プラス2」で、横田基地の在日米軍司令部を、戦争を指揮統制する強力な戦争司令部へと進化させることに合意しました。東アジアにおける米国の軍事拠点である日本は、一歩間違えば、沖縄をはじめとして、全国を戦場としかねない危険な道にふみこんだのです。

こうした中、横田基地では12月に入って米インド太平洋宇宙軍が、基地内に在日米宇宙軍を発足させ、基地機能強化が更に進められました。日米同盟強化を米国言いなりに進めることは、米国の覇権争いに深く組み込まれていく極めて危険な道です。 

止めどなく進む横田基地の機能強化

.C17などの大型輸送機の飛来が頻繁になり、大型輸送機用の駐機場建設がなされています。C130Jの配備増やC17の常駐化も計画されています。

.また、超高空を飛行し、中国大陸の奥まで監視していると思われる、無人偵察機グローバルホークがグアムから持ち込まれ、ほぼ常駐化しています。

.航空機燃料を大量に貯蔵する地下のタンクの増設、その配給施設や燃料運搬用引き込み線の改修・新設がすすみました。

.同時に、海兵隊岩国基地から、また太平洋を越えて米本土の基地から、KC135やKC10などの大型空中給油機の頻繁な飛来とその訓練が激しく繰り返されています。

.ミサイルなどの攻撃を受け、破壊された滑走路を直ちに修復する訓練と、滑走路損傷修復用の装備品・機材などの大型備蓄施設の建設も進みました。

.横田基地を使った米軍と自衛隊の共同作戦・訓練があたりまえのようになされています。

.更に、CV2210機配備のための受け入れ工事、自衛隊用の火薬庫(弾薬庫)の工事も進んでいます。 

巨大な52H戦略爆撃機30年ぶりに飛来

そこに、核攻撃用の戦略爆撃機が、日米安保に基づく「事前協議」もなく、米軍の一方的な都合で飛来するという重大事態が引きおこされました。最近では24年の4月2日、B52H戦略爆撃機が1機、23年7月に続いて突然飛来しました。

4月2日、飛来に気づいた周辺住民が、地元自治体に、北関東防衛局から情報が入っているか問い合わせましたが、全く入っていませんし、基地内に駐機している事実は「部外秘」扱いになっていることが分かりました。

冷戦期は当たり前のように飛来していた戦略爆撃機でしたが、ここ30年間は全く途絶えていたことがいきなり始まったのはなぜか。決してたまたまなどではありません。北朝鮮への威嚇が繰り返される中で、起きた「事件」だったのです。 

欠陥機CV22オスプレイは直ちに撤去すべき

231129日の屋久島沖炎上墜落事故発生から8ヶ月、247月、やっと出された米空軍の墜落事故調査報告書でも根本原因は不明のままです。

にもかかわらず、7月から、横田基地周辺の住宅地上空で訓練が再び繰り返されています。    

世界を見まわして米軍の軍用機が人口密集地上空で、超低空を飛び回り、急旋回や編隊飛行を繰り返している国があるでしょうか。横田基地の訓練の実態は異常極まりないものです。

CV22オスプレイは、2018年4月にいきなり5機持ち込まれ、10月に正式配備されてから悲惨な墜落事故を起こした231129日まで、わずかな期間に緊急着陸・部品落下事故などを頻繁に繰り返しながら、超低空飛行、急旋回飛行などを繰り返し、夜間は基地に戻ってホバリング飛行を行い、地域住民に大きな不安と騒音被害を与え続けています。 

繰り返されるパラシュート降下訓練

2012年1月、突然始まった横田基地での輸送機C130Jを使ったパラシュート降下訓練は、沖縄県民・北谷町民の20数年に及ぶ長期のパラシュート降下訓練反対のたたかいによって、町長が引き受けた伊江島を例外として、県外に追い出されたものでした。

CV22オスプレイ横田配備も同じで、米軍の予定では、2013年から14年に特殊作戦部隊がもともと配置されていた嘉手納基地に配備予定だったものが、普天間基地へのMV22オスプレイ配備反対のオール沖縄の大闘争と、その力で沖縄の全自治体を巻き込んで作られた「建白書」の威力で、嘉手納基地から横田基地配備へと変えられた結果でした。

沖縄県民のたたかいは、県民に襲いかかる危険を取り除く大きな力を発揮しているのです。

一方、なんの取り決めもないまま危険を押し付けられた横田基地では、パラシュート降下訓練は、自衛隊の訓練と一体化し、地元自治体の反対の声を無視し、当たり前のように続いています。  

横田基地を使い大規模な空中給油訓練

太平洋のかなたの本土から横田基地へやってくる大型空中給油機は何をしているのでしょうか。アメリカはアジアから見れば太平洋の遥か彼方の国。ヨーロッパからは大西洋の彼方の国。この国は、自国が戦火に見舞われない位置にあることをよく知っていて、20世紀の2度の世界大戦を経て、英国をぬいて、軍事的にも経済的にも世界最大の覇権国家となりました。

アメリカは、圧倒的な軍事大国として、海外軍事基地515カ所を維持し、45万人を派遣、常に軍事的優位をめざしています。特に、近年中国に対する圧力を強めています。

そのため西太平洋の上空は米軍の爆撃機が常時飛び回り、警戒しているのです。それら航空機への給油は、太平洋・東シナ海上空でなされており、沖縄が主な給油基地でしたが今は、横田基地にも大きな給油施設を造り、空中給油機を多数送り込んできて、守りを固めています。

猛スピードでなされる戦闘機への空中給油は、極めて危険ですから海上でなされますが、横田基地から飛び立った岩国基地所属のF35ステルス戦闘機への給油訓練が、甲府市上空でなされていることが山梨県民の告発で明らかとなり大問題になりました。 

 

日米同盟は日本を守るという大うそ 

米軍高官が、米国議会で予算を確保するために繰り返していることは、「日米安保」によって日本に配備されている米軍は、米国を守るためのものであって、日本を守るためのものではないということです。

だから米国政府は、日本政府に自衛隊を強化するために軍事予算を大幅にふやせというのです。だとしたら、戦争の危険しか作り出さない米軍の施設・基地は日本にはいらないではありませんか。今こそ米国言いなりの軍事同盟=日米安保条約から脱却し、ASEANから学び、グローバルサウスと共同し、非同盟中立の国へと新しい歩みを作り出すべきではありませんか。

長い間基地周辺にお住まいのみなさんの中には、「米軍がいるから安全だ」という思い込みがあるようです。しかし、現実は全く違います。米軍基地ほど危険なものはありません。

私たちの国・日本は、憲法で絶対に戦争しないことを世界に向かって宣言している国です。ですから、本来攻めてくる国などありません。

私たち国民が戦争反対の声をあげ続け、あくまでも憲法9条を守りぬく限り日本は安全なのです。逆に、戦争を呼び込む米軍基地など全く不要です。

1959年3月、新安保条約反対の大闘争の最中、立川基地拡張反対の大闘争、砂川裁判で下された東京地裁の伊達裁判長の歴史的な「安保条約違憲判決」を今こそ生かすときです。

今回触れられませんが、横田基地が汚染源であるPFAS問題も深刻です。

 

2024年9月2日月曜日

 「足立たすけあい村」5001000人参加とその成果 

足立区労連議長 大滝慶司さん

 毎回500人から1000人が参加し、6回を数えた「足立たすけあい村」について、大滝さんにレポートして頂きました。

 

「足立たすけあい村」

 

 20231230日(土)、「足立たすけあい村」が竹の塚第5公園で開催され、食料配布に500人を超える方が来場されました。開始予定の1時間前には行列ができ、予定を早めて配布を開始。約400㎏のお米や餅、カップ麺やレトルト食品、大根・白菜・人参などの野菜、バナナ、お菓子や飲料、生理用品や洗剤等の日用品、衣類などが用意され、来場者に配られました。高齢の方や、子ども連れの女性が多く、外国人の方や車椅子で来られた方もいました。

 食料を受け取った方からは、「物価高で生活が大変、食料品の配布は本当にありがたい」「久しぶりに野菜たっぷりの鍋ができる」などの声が寄せられました。

 なんでも相談コーナーには、解雇などの労働問題や生活保護などの相談が11件寄せられました。

 「足立たすけあい村」は、コロナ禍で困窮した人たちへの支援と相談を行おうと「市民連合あだち」が呼びかけ、労働組合や弁護士、医療関係者、ボランティア団体などでつくる実行員会が主催しているもので、20201230日千住旭町公園で第1回を開催し、昨年1230日の竹の塚第5公園まで6回にわたり開催を重ねてきました。毎回、食料支援には5001000人の来場者、なんでも相談には1020件の相談があります。当日の運営には約100名のボランティアが協力しています。

配布物資は、協力いただいている農園からの野菜等の提供や団体・個人からのカンパで準備。なんでも相談は各団体から弁護士、社会保険労務士、区議会議員(立憲民主党、共産党れいわ新選組など)、労働組合役員、看護師、社会福祉士などの協力を得て実施しています。 

 

取り組みを通じての成果

 

1.生活困窮の実態と政治の責任を可視化  

 コロナ禍以降、生活困窮が町場の中に広がっています。食料配布に5001000人が並ぶ光景はその象徴です。来場者や通行人からは毎回、「この光景が岸田さんに見えているのかしら」「これは本当は役所の仕事ですよね」という声が聞かれます。見えにくくなっている貧困の実態と政治の責任を可視化させています。

2.くらしの実態から要求の政策化


 実行委員会に参加する社保協、くらしと営業を守る足立連絡会、足立春闘共闘などは来場者の声やなんでも相談の内容をまとめ、物価高騰のもとでの区民支援策や医療・介護・営業支援などの具体的な政策として足立区への予算要望等に反映させています。

3.助け合いのネットワーク 

 取り組みを重ねる中で、物資提供・カンパに協力してくれる方が増え、これまでつながりのなかったボランティアグループ、物資提供してくれる農園や企業からの協力が広がっています。行政との関係でも、福祉事務所や住区センターなどでのポスター掲示、チラシの配布、福祉関係部署との連携など、「足立たすけあい村」を通じた地域の助け合いのネットワークが広がってきています。

4.市民連合あだち、政党への市民の信頼向上

 市民の方からは「市民連合はこんな活動もやっているんですね」「野党も一緒にやっているんですね」という声が聞かれ、「市民連合あだち」の認知度と信頼感アップにつながっています。また、政党や各団体との信頼関係が深まってきたことも大きな成果です。

 

政治の転換めざして

 

「足立たすけあい村」が生活困窮者への直接支援を根付かせ、相談先のない区民にその場を提供してきただけでなく、区民運動にも多くの貴重な経験を生んできました。引き続き、「足立たすけあい村」の取り組みを強め、生活の苦しさの根源はどこなのかを明らかにし、市民と野党の共闘を広げ、くらしを守る政治への転換をめざして奮闘していく決意です。

2024年7月23日火曜日

 若者憲法集会 全国350超実行委結成

民青同盟東京都委員長 新田裕也

630日、若者憲法集会2024が開催されました。実行委員会が昨年呼びかけ、全国でとりくんできた「敵基地攻撃能力保有・大軍拡に反対する青年の草の根ネットワーク運動」を更に前進させていく集会になりました。第一回若者憲法集会が2014年に開催されてからまる10年、現在は全国各地の地域・職場・学園に350以上の若者憲法集会実行委員会が結成されています。

有楽町朝日ホールで行われたメイン企画には800人が集まり、小森陽一さんを講師に、「日本国憲法を活かす政治を若者の力で」と題して、岸田政権の危険な対米従属の実態、岸田政権と対決する国民的運動の大切さを学びました。


各地からの率直な交流 

小森さんの講演後には各地の青年からの取り組み報告。「昨年夏から宣伝を約30回継続してきた。昨年よりも、敵基地攻撃能力保有・大軍拡について『ニュースを見た』『不安に感じている』と危機感を持つ青年が増えていると感じる。地元の青年たちにとって、地元で青年が行動している様子が見えて、なにかしたいと思ったらすぐ一緒に行動できる運動体があることは希望だと思う」(徳島・ひょうたん島)、「今年の6月友人に誘われて運動に参加し始めた。自分の身近に平和への思いを持つ青年が暮らしていると考えたことはなかったが、そうした青年に出会えると嬉しく、心強い気持ちになる。草の根でもっと多くの青年とつながりともにたたかっていきたい」(北海道・南郷7丁目北)、「昨年3月に友人と2人で実行委員会を立ち上げ、今は10人に増やしている。目標に向けて学習会などの企画開催や昼休み宣伝、許可をもらっての授業前宣伝などにとりくんできて、ほんの少しキャンパスの空気が変わった。こうした運動が全国各地に広がれば、全国の空気も変わっていくと思う」(首都圏の大学)といった発言がありました。

閉会あいさつでは、「若者憲法集会2025」の開催が発表され、「集会を力によりいっそう、各地域・職場・学園の運動をひと回りもふた回りも広げ、大きな高揚のなかで集会を迎えましょう」と呼びかけられました。 

デモに沢山の反応 


集会後のデモでは1200人の参加者で東京・銀座を行進。プラカードを掲げながら、サウンドカーから流れる軽快なリズムにのせて「物価高から生活守れ」「軍事費ではなく教育に回せ」「返さなくていい奨学金を」と声をあげると、手を振って応援してくれる方や、ガッツポーズをして連帯を示してくれる方などがたくさんいて、とても活気のあるデモになりました。

参加者からは、「戦時中は、このままだと日本ヤバいと思っていた人が絶対いたと思うけど止まらなかった。声を上げる人が周りにいないとヤバいことがどんどん進んでいく。そういう意味で運動が大事だと思った」「日頃、自分達の実行委員会で行動しているだけでは時に心細くなり、マイノリティ派として無視されるだけなのではないかと思うこともあるが、全国にこれだけ同じような願いを持った青年たちが存在し、また同じような熱量をもって活動されているのだと知れて、大いに励まされる気持ちになった。間違っていることを間違っていると伝える声を途絶えさせたくない。叫び続けたい。負けたくない」「たくさんの若い人が集まっていてすごく楽しかった。デモで歩いているとき何百キロでも歩ける気がした」などの感想が寄せられました。

来年の集会に向け、東京の草の根で敵基地攻撃能力保有・大軍拡に反対する青年のつながりを大きくし、世論を広げていきたいと思います。

 

2023年7月25日火曜日

 小池都政7年の検証


都政問題研究家
 末延渥史

 来年7月の都知事選まで1年、都政問題研究家の末延渥史さんに小池都政をリポートしていただきました。

小池都政が誕生して7年が経ちました。果たしてこの7年の間に、都民の暮らしは改善されたのでしょうか。東京のまちは住みやすく、地球に優しい都市に変わったのでしょうか。都政が「都民の声が届く」身近な自治体に生まれ変わったのでしょうか。

 その答えはいずれもNO!です。

 公約は守られたか 

 2016年都知事選挙は舛添要一都知事の都政私物化、黒塗り情報開示、肥大化するオリンピックと築地市場移転、保育所待機児解消などがおおきな争点としてたたかわれました。

 立候補当時、自民党の現職国会議員であった小池百合子候補は、自民党推薦で選挙をたたかうことを試み、自民党本部に推薦を要請しましたが、都議会自民党・自民党都連の支持が得られず、一転、自民党籍のまま無所属・支持政党なしでの立候補となりました。

 既存団体(自民・公明、各種団体協議会など=筆者注)などの支持をとりつけられないため、都民を味方につけていくしかなかった。しかし、これこそ小池知事が圧倒的な支持を得る最大の要因となった。(読チャンネル・中村健)

 小池都知事は選挙戦にあたって「都民が決める。都民が進める」のキャッチコピーをかかげ、都議会自民党を仮想敵にしたてて選挙戦を展開。自身をあたかも都民の代表、自民党支配の告発者、対決者として都民の前に描き出すことに成功しました。

 さらに小池都知事は当選後の初登庁での記者会見で、選挙で掲げた政策や公約が「選挙のための言葉ではない。都民のみなさん方も参加していただき進めたい」と抱負を述べたのでした。

 しかし、小池都知事が公約、都民との約束を守ることはなく、都民の願い、期待は裏切られることになりました。

 まず、小池都知事が最初におこなったことは大阪維新の会政策特別顧問であった上山信一を東京都顧問・特別顧問に迎え、さらに、鳴り物入りで立ち上げた「東京都政改革本部」には上山顧問をはじめ5人もの外資系大手コンサルタントの出身者をすえるなど、その後の「東京大改造」のための布陣を敷くことでした。また、「側近政治」をもっぱらとして、都民の参加、都民との対話・共同を拒みつづけたその姿勢は「都民が決める。都民が進める」の公約とは真逆のものです。

 また、公約として「東京オリンピックの施設計画の見直し」「築地市場の豊洲移転の一時凍結」「情報の全面開示」を都民に約束することで急速に支持をひろげました。

 しかし、小池知事はこれらの公約について、翌年の東京都議会選挙で自身が立ち上げた都民ファーストの会が勝利すると一転させ公約を反故にしてしまったのです。

 東京オリンピックについては「都民のための都政を取り戻すため、五輪の予算負担は試金石になる」と公言。「いったん立ち止まって考える」と公約したにもかかわらず、就任後、会場視察などのパフォーマンスを演じたものの、最終的には国や組織委員会(森喜朗会長)のいいなりに舛添前都知事が提案した範囲の見直しに逆戻りさせてしまいました。

 都民の台所・築地中央卸売市場の豊洲移転問題は、食品市場として不適格な土壌汚染と液状化、建設費の膨張と大手ゼネコンによる談合などに対する幅広い都民、市場関係者、飲食業者などの批判と告発が巻きおこりました。これに対して小池都知事はこれも「いったん立ち止まって考える」といい「(豊洲)は物流拠点にする。(築地)は食のテーマパークを備えた市場にする」として「築地を守る」ことを都民に約束したのです。しかし、小池都知事は東京オリンピックを優先。都民との約束を反故にして豊洲移転を強行。さらに、超高層ビルによる大規模再開発を促進しています。

 もう一つ選挙で問われたのが「黒塗り」、「のり弁」と言われた行政情報の実質非開示の問題で、都民の知る権利の侵害が都民的な怒りを巻き起こしました。小池都知事はこれに対して「都政の透明化」を公約。情報公開は都政改革の「1丁目1番地」とまでいい都民の支持をあつめたのです。ところが、就任後、築地市場豊洲移転やオリンピック経費の膨張、オリンピック選手村用地の市価の10分の1での投げ売りなど、都民の批判にさらされるとこれまた一転して、全面開示を拒み、選手村資料の開示請求に対して資料の全面を黒塗りにした「のり弁」の開示をおこなったのです。これは明らかに都民に対する裏切りであり、挑戦に他なりません。

 また、小池都知事は公約の「7つの0(ゼロ)」の実現のトップに「待機児ゼロ」をあげましたが、実際に小池都知事がやったことは、都民が切実に求め、待機児解消の鍵をにぎる公立保育園、認可保育所の増設ではなく、石原知事が都政に持ち込んだ園庭がなく劣悪な環境、保育の質が保障されず高い料金の認証保育所を中心にした待機児対策と財界や国が求める規制緩和を促進することでした。

 このため待機児は1万3696人(2022年度・公立・認可保育所を希望しながら入所できない児童)に達しています。小池都知事は待機児を「解消」したと豪語しましたが、これは公立・認可保育所を増やして実現したものではなく、国の基準改悪で認証保育所を入所対象施設に加えることで可能となった水増し数字に他なりません。 

都民置き去り 

 いま都民は、長期にわたる経済の低迷、安倍・菅・岸田政権による大増税、社会保障制度の連続改悪、雇用破壊のもとで生活の困窮の度を深めています。

 こうした時に、東京都に求められるのは、憲法の生存権=「健康で文化的な最低限度の生活」の保障であり、地方自治法が求める「住民の福祉の増進」に全力をつくすこと、歴代自民党政権の悪政から都民を守る防波堤の役割をはたすことです。

 その点で東京都の財政は、オーストリアの国家財政に並ぶ規模で、今年度予算(全会計)は過去最高額の16兆1000億円を記録しました。

 にもかかわらず小池都知事は、この豊かな財政を都民のために使おうとはせず、公的責任を放棄し、財界言いなりに新自由主義にもとづく「自己責任」の徹底を都民に押しつけ、都民サービスを切りすててはばからないのです。

 その一方で、小池知事は1月の知事査定で、4月に控えていた統一地方選挙での都民ファースト浮上を意図した「018作戦(0~18歳までの子どもに一律5000円を支給)」を突然、予算化しました。また、これに不満をいだいた与党自民党・公明党による私学助成の増額要求ものみ込むなど話題となりましたが、こうしたパフォーマンスによる施策を除いては、国の施策の範囲内での予算付けに止まっているのです。

 例えば、新型コロナ対策では国の予算の枠内での対策など成りゆき任せの対策に終始し、全面的PCR検査の実施や業者への営業補償、多摩地域の保健所の増設などの切実な都民の要求には背を向けつづけるとともに都立病院の独法化を強行したのです。

 東京における格差と貧困は子育て世代に止まらず子どもから高齢者まで全年齢階層で拡大しています。全階層とりわけ高齢者への支援が緊急の課題となっているにもかかわらず、介護負担の軽減を拒み。過去最高の国民健康保険料(税)の引き上げを強行。27年間1円も引き上げられていない障害者福祉手当も据え置かれたままです。さらに都民の切実な要求となっている物価高騰対策、全学年での少人数学級の実現、介護基盤整備、都営住宅の新規建設、学校教員の増員、中小業者緊急支援、公共料金の引き下げなどについて耳を貸そうともしないことは許されません。

 財界戦略…「稼げる都市」

  小池都知事は都民に困窮を押しつける一方、石原都知事が都政に持ち込んだ多国籍企業のための都市再生=東京大改造路線を継承。「世界で一番ビジネスのしやすい都市」「稼げる都市」を標榜し、官邸と共同で都庁のなかに国家戦略特区の「共同事務局」を開設。再開発のための国家戦略特区を43カ所も指定。ポストオリンピックとして「国際金融都市構想」にもとづく、高さ390m、敷地面積3・1ha、総床面積68万ヘクタールもの常盤橋街区再開発事業をはじめ明治神宮外苑再開発などな超高層ビルによる同時多発的な再開発を推進しています。

 こうした「東京大改造」の結果、石原都政以降の2000年からの21年間に23区で建設された高さ100m以上の超高層ビルは369棟に及びその延べ床面積は千代田区と港区の行政面積を超える34・8haにも達しているのです。そしてこの超高層ビル群によって排出される事業系二酸化炭素が地球規模での温暖化、異常気象の大きな要因となっているのです。実際に超高層ビル一棟からは、日比谷公園数カ所分の樹木による吸収が必要となる二酸化炭素が排出されているのです。

 都民サービスを切り捨てて浮かした財源を開発につぎ込む逆立ち政治を終わらせ、都市の成長を管理する政策に転換することが不可欠です。

 安倍・管・岸田政権による「戦争をする国づくり」のもとで、東京都がこれに厳しく抗議し、東京の平和を守るために役割を果たすことが強く求められています。しかし、小池都知事はこの歴代政権の暴走にストップをかけるどころか、これを容認。非核都市宣言も拒否しています。バリバリの改憲論者であり、「核武装」を主張する人物を首都の知事に止めさせておくことは認められません。

 都知事選挙が1年後に迫りました。市民と野党の共闘の力で都政を都民の手にとりもどそうではありませんか。