2023年7月25日火曜日

 小池都政7年の検証


都政問題研究家
 末延渥史

 来年7月の都知事選まで1年、都政問題研究家の末延渥史さんに小池都政をリポートしていただきました。

小池都政が誕生して7年が経ちました。果たしてこの7年の間に、都民の暮らしは改善されたのでしょうか。東京のまちは住みやすく、地球に優しい都市に変わったのでしょうか。都政が「都民の声が届く」身近な自治体に生まれ変わったのでしょうか。

 その答えはいずれもNO!です。

 公約は守られたか 

 2016年都知事選挙は舛添要一都知事の都政私物化、黒塗り情報開示、肥大化するオリンピックと築地市場移転、保育所待機児解消などがおおきな争点としてたたかわれました。

 立候補当時、自民党の現職国会議員であった小池百合子候補は、自民党推薦で選挙をたたかうことを試み、自民党本部に推薦を要請しましたが、都議会自民党・自民党都連の支持が得られず、一転、自民党籍のまま無所属・支持政党なしでの立候補となりました。

 既存団体(自民・公明、各種団体協議会など=筆者注)などの支持をとりつけられないため、都民を味方につけていくしかなかった。しかし、これこそ小池知事が圧倒的な支持を得る最大の要因となった。(読チャンネル・中村健)

 小池都知事は選挙戦にあたって「都民が決める。都民が進める」のキャッチコピーをかかげ、都議会自民党を仮想敵にしたてて選挙戦を展開。自身をあたかも都民の代表、自民党支配の告発者、対決者として都民の前に描き出すことに成功しました。

 さらに小池都知事は当選後の初登庁での記者会見で、選挙で掲げた政策や公約が「選挙のための言葉ではない。都民のみなさん方も参加していただき進めたい」と抱負を述べたのでした。

 しかし、小池都知事が公約、都民との約束を守ることはなく、都民の願い、期待は裏切られることになりました。

 まず、小池都知事が最初におこなったことは大阪維新の会政策特別顧問であった上山信一を東京都顧問・特別顧問に迎え、さらに、鳴り物入りで立ち上げた「東京都政改革本部」には上山顧問をはじめ5人もの外資系大手コンサルタントの出身者をすえるなど、その後の「東京大改造」のための布陣を敷くことでした。また、「側近政治」をもっぱらとして、都民の参加、都民との対話・共同を拒みつづけたその姿勢は「都民が決める。都民が進める」の公約とは真逆のものです。

 また、公約として「東京オリンピックの施設計画の見直し」「築地市場の豊洲移転の一時凍結」「情報の全面開示」を都民に約束することで急速に支持をひろげました。

 しかし、小池知事はこれらの公約について、翌年の東京都議会選挙で自身が立ち上げた都民ファーストの会が勝利すると一転させ公約を反故にしてしまったのです。

 東京オリンピックについては「都民のための都政を取り戻すため、五輪の予算負担は試金石になる」と公言。「いったん立ち止まって考える」と公約したにもかかわらず、就任後、会場視察などのパフォーマンスを演じたものの、最終的には国や組織委員会(森喜朗会長)のいいなりに舛添前都知事が提案した範囲の見直しに逆戻りさせてしまいました。

 都民の台所・築地中央卸売市場の豊洲移転問題は、食品市場として不適格な土壌汚染と液状化、建設費の膨張と大手ゼネコンによる談合などに対する幅広い都民、市場関係者、飲食業者などの批判と告発が巻きおこりました。これに対して小池都知事はこれも「いったん立ち止まって考える」といい「(豊洲)は物流拠点にする。(築地)は食のテーマパークを備えた市場にする」として「築地を守る」ことを都民に約束したのです。しかし、小池都知事は東京オリンピックを優先。都民との約束を反故にして豊洲移転を強行。さらに、超高層ビルによる大規模再開発を促進しています。

 もう一つ選挙で問われたのが「黒塗り」、「のり弁」と言われた行政情報の実質非開示の問題で、都民の知る権利の侵害が都民的な怒りを巻き起こしました。小池都知事はこれに対して「都政の透明化」を公約。情報公開は都政改革の「1丁目1番地」とまでいい都民の支持をあつめたのです。ところが、就任後、築地市場豊洲移転やオリンピック経費の膨張、オリンピック選手村用地の市価の10分の1での投げ売りなど、都民の批判にさらされるとこれまた一転して、全面開示を拒み、選手村資料の開示請求に対して資料の全面を黒塗りにした「のり弁」の開示をおこなったのです。これは明らかに都民に対する裏切りであり、挑戦に他なりません。

 また、小池都知事は公約の「7つの0(ゼロ)」の実現のトップに「待機児ゼロ」をあげましたが、実際に小池都知事がやったことは、都民が切実に求め、待機児解消の鍵をにぎる公立保育園、認可保育所の増設ではなく、石原知事が都政に持ち込んだ園庭がなく劣悪な環境、保育の質が保障されず高い料金の認証保育所を中心にした待機児対策と財界や国が求める規制緩和を促進することでした。

 このため待機児は1万3696人(2022年度・公立・認可保育所を希望しながら入所できない児童)に達しています。小池都知事は待機児を「解消」したと豪語しましたが、これは公立・認可保育所を増やして実現したものではなく、国の基準改悪で認証保育所を入所対象施設に加えることで可能となった水増し数字に他なりません。 

都民置き去り 

 いま都民は、長期にわたる経済の低迷、安倍・菅・岸田政権による大増税、社会保障制度の連続改悪、雇用破壊のもとで生活の困窮の度を深めています。

 こうした時に、東京都に求められるのは、憲法の生存権=「健康で文化的な最低限度の生活」の保障であり、地方自治法が求める「住民の福祉の増進」に全力をつくすこと、歴代自民党政権の悪政から都民を守る防波堤の役割をはたすことです。

 その点で東京都の財政は、オーストリアの国家財政に並ぶ規模で、今年度予算(全会計)は過去最高額の16兆1000億円を記録しました。

 にもかかわらず小池都知事は、この豊かな財政を都民のために使おうとはせず、公的責任を放棄し、財界言いなりに新自由主義にもとづく「自己責任」の徹底を都民に押しつけ、都民サービスを切りすててはばからないのです。

 その一方で、小池知事は1月の知事査定で、4月に控えていた統一地方選挙での都民ファースト浮上を意図した「018作戦(0~18歳までの子どもに一律5000円を支給)」を突然、予算化しました。また、これに不満をいだいた与党自民党・公明党による私学助成の増額要求ものみ込むなど話題となりましたが、こうしたパフォーマンスによる施策を除いては、国の施策の範囲内での予算付けに止まっているのです。

 例えば、新型コロナ対策では国の予算の枠内での対策など成りゆき任せの対策に終始し、全面的PCR検査の実施や業者への営業補償、多摩地域の保健所の増設などの切実な都民の要求には背を向けつづけるとともに都立病院の独法化を強行したのです。

 東京における格差と貧困は子育て世代に止まらず子どもから高齢者まで全年齢階層で拡大しています。全階層とりわけ高齢者への支援が緊急の課題となっているにもかかわらず、介護負担の軽減を拒み。過去最高の国民健康保険料(税)の引き上げを強行。27年間1円も引き上げられていない障害者福祉手当も据え置かれたままです。さらに都民の切実な要求となっている物価高騰対策、全学年での少人数学級の実現、介護基盤整備、都営住宅の新規建設、学校教員の増員、中小業者緊急支援、公共料金の引き下げなどについて耳を貸そうともしないことは許されません。

 財界戦略…「稼げる都市」

  小池都知事は都民に困窮を押しつける一方、石原都知事が都政に持ち込んだ多国籍企業のための都市再生=東京大改造路線を継承。「世界で一番ビジネスのしやすい都市」「稼げる都市」を標榜し、官邸と共同で都庁のなかに国家戦略特区の「共同事務局」を開設。再開発のための国家戦略特区を43カ所も指定。ポストオリンピックとして「国際金融都市構想」にもとづく、高さ390m、敷地面積3・1ha、総床面積68万ヘクタールもの常盤橋街区再開発事業をはじめ明治神宮外苑再開発などな超高層ビルによる同時多発的な再開発を推進しています。

 こうした「東京大改造」の結果、石原都政以降の2000年からの21年間に23区で建設された高さ100m以上の超高層ビルは369棟に及びその延べ床面積は千代田区と港区の行政面積を超える34・8haにも達しているのです。そしてこの超高層ビル群によって排出される事業系二酸化炭素が地球規模での温暖化、異常気象の大きな要因となっているのです。実際に超高層ビル一棟からは、日比谷公園数カ所分の樹木による吸収が必要となる二酸化炭素が排出されているのです。

 都民サービスを切り捨てて浮かした財源を開発につぎ込む逆立ち政治を終わらせ、都市の成長を管理する政策に転換することが不可欠です。

 安倍・管・岸田政権による「戦争をする国づくり」のもとで、東京都がこれに厳しく抗議し、東京の平和を守るために役割を果たすことが強く求められています。しかし、小池都知事はこの歴代政権の暴走にストップをかけるどころか、これを容認。非核都市宣言も拒否しています。バリバリの改憲論者であり、「核武装」を主張する人物を首都の知事に止めさせておくことは認められません。

 都知事選挙が1年後に迫りました。市民と野党の共闘の力で都政を都民の手にとりもどそうではありませんか。

     

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