がんばる東京の農業
人と土と野菜はトライアングル
小寺理一さん(東京農民連副会長)
小寺理一さん(東京農民連副会長)
東京都清瀬市下清戸で農業を営む小寺理一さんを訪問しました。理一さんは現在84歳、奥さんと息子さん夫婦と4人の専業農家、パート2人を加え、1.5ヘクタールで野菜を中心に農業を営んでいます。
清瀬市の四分の一弱が農地
小寺さんの主たる作物は、ジャガイモ、サツマイモ、里芋、ニンジン、白菜、大根などで36品目をつくっている。カブ、水菜、ホウレン草などは連作を避けながら、1.5ヘクタールを2ないし3回転させ、延べ3ないし4ヘクタール分を耕作しています。作物は直売所で販売し、販売価格はほとんど1品100円、市場より安く販売しています。
清瀬市の農家戸数は、250軒、うち専業農家は84軒です。売り上げ、200万円以下が圧倒的で1000万円を超える農家はわずかです。TPPが批准され清瀬にも安い農作物が販売されることになれば、農家はそれこそ収入がなくなり維持できなくなるでしょう。東京農民連はTPP導入反対の立場で頑張っています。
安全、安心、新鮮、美味しい野菜作りをモットーにしており、馬糞、鶏糞、米ぬか、魚粉、ワラ、籾殻を発酵させた堆肥で土づくりをしている。1回は殺虫剤をまくが、減農薬でやっており、東京都の減農薬の認定農家となっている。
農業の喜びは、種を蒔いて土がひび割れして芽が出てくるときの喜び、そしてなんと言っても収穫するときの喜びだ。根菜類、サツマイモを掘って、大きなイモが5つも6つも出てくれば一瞬で疲れが吹き飛ぶ。名人になるには平均的に沢山とれる方法をあみ出す必要がある。80過ぎて野菜の気持ちが分かるようになった。野菜が、こうしたらどうなんだと何となく分かるようになった。作物を終日見ていることだ。人と土と野菜は三角関係だ。人間が野菜を育てる土づくりして、野菜が人間の寿命が長くする。土づくりは健康管理と同じだ。今は年を取るのを忘れている。最近は楽しくなってきた。安く売るのは悲しいが、年金生活者などが安い野菜に喜ぶのを見るのは楽しみで慰めだ。
体験農園を始めて3年目。生徒は現在50人、目標は100人だ。年間41000円を負担してもらっている。種、肥料を提供し、一緒に畝をたて、種を蒔き、一緒に育てている。12~13人の応援部隊のサポーターも、畑の作業に入り手伝っている。体験農園の月間ニュースも発行している。安全、安心、新鮮、おいしい畑づくりをモットーにしている。11月29日に秋の収穫祭をやり、85人が参加、副市長も挨拶に来た。
都市農業はこのままでは滅ぶ